テロのインフレ…? 『24 -TWENTY FOUR- シーズンVI』
『24 -TWENTY FOUR-』の各シーズンを、(あくまで独断で)出来がいいと思われる順番に並べると……。
3→5→2→1→4→6
という感じでしょうか。
ここ数年、リリース直後のレンタルしにくい時期をあえてはずして、年末年始休暇の間にまとめて最新シーズンを観まくるのがパターン化。今回も、周囲から聞こえてくるシーズン6の不評ぶりにもめげず連続鑑賞に臨んだものの、やはりその出来はシリーズ中最も落ちると言わざるを得ないものだった。
ストーリーが前半から中盤までと後半以降で分断されてしまうとか、他のシーズンに比べ脇役が弱いとか、弱点は色々あるものの、一番の理由は「マンネリ化」に尽きる。どこをとっても過去のシーズンで見たことのあるような場面や設定の繰り返し。身内の人間が人質に…、チップだかマイクロフィルムだか基盤だかを奪ったり奪われたり、拷問拷問また拷問、CTU本部への唐突な襲撃、女性の暴走による囮捜査の失敗などなど。
中心となるテロのネタさえ尽き気味で、大都市での核爆弾爆発や第3次大戦勃発の危機という一大事でさえ、この世界のなかではもはや刺激的とは言えなくなっている。
竹熊健太郎氏言うところの「敵のインフレ」ならぬ「テロのインフレ」!!!
もっともジョン・カサー(監督・製作)をはじめとした製作側もこの点には自覚的なようで、シーズン7では「1」の精神に立ち返り、もっと小規模な事件の中で緊張感を保つストーリー作りを目指すとか。
ところで、長く観ているファンであればあるほど、このドラマが24時間のリアルタイム形式であるという最大の特徴を忘れがちな気がする(自分がまさにそう)。リアルタイムものって、大状況のドラマだと実は自覚しにくく、お話が小規模であればあるほど親密な「リアルタイム感」は高まるのかもしれない。2時間の映画だから「もつ」のであって、24時間という過激な形式では同じ事は当てはまらないだろうが、『ロープ』然り『ニック・オブ・タイム』(バダム!)然り。
また今回あらためて思ったが、このドラマのもうひとつの大きな発見は、やはりキーファーという2流俳優に、過去のどんなヒーローにもない暴力的かつセンシティブ(ここがポイント)な個性を見出したことなのだろう。自分を罰するかのごとく暴走する主人公を、こうも魅力的に演じられる人もそういない。
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