’07年おもしろかった漫画(2)『海獣の子供』

去年おもしろかった漫画を今更ながら振り返ろうかと。その(2)です。

自分が書店で未知の漫画を選ぶ時の基準って何なのか?
表紙や装丁の雰囲気やオビのコピーに惹かれて…ということもあるけれど、よくやるのは立ち読み対策のビニールを少しずらして、中身の絵柄のタッチを確認すること。それがどんなに話題作であっても、絵柄の好みが合わなければまず買うことはない。僕の場合、いわゆるアニメ絵ってやつが生理的にダメ。あと、いかにもアシスタントを長年やりましたという感じの、無機的なプロの絵もつまらない。要は個性的な絵、その絵だからこそ作品が成立するような絵柄が好きなのだ。

五十嵐大介海獣の子供』の絵。大雨が海面に叩きつけるロングショットの大ゴマや、ものすごい種類の魚が乱舞する海中シーン、子供たちが見せる曖昧な一瞬の表情など、どのページをめくっても、心を強引に持っていかれる、怖いような魅力を放つ絵が並んでいる。

例えば、海やプールで長時間泳いだ後、日陰で居眠りする時の体の気だるさや、横殴りの雨粒が体を叩く痛さみたいな、「体が覚えている記憶」が呼び覚まされる作品。

少年版『グラン・ブルー』といった趣の、人間の少女と海で生まれた2人の少年とのストーリーは、単なる情緒的なファンタジーに流れず、宇宙と海との関係といったモチーフも繰り出されて、どんどん予想が付かないSF的展開を見せているから楽しみ。


海獣の子供 (1) (IKKI COMIX)

海獣の子供 (1) (IKKI COMIX)


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