オカルト“ホーム”ミステリー『ミディアム 霊能者アリソン・デュボア』


ミディアム(MEDIUM)とは何の事かといえば、「中庸」「媒介」といった意味のほかに、そのものずばり「霊媒」を意味するらしい。全然知りませんでした。

死者の声や姿を感じることが出来る弁護士志望の主婦が、直感と小さな手掛かりから様々な事件の解決に挑むという設定は、『シックス・センス』と『CSI』をミックスしたようで、特に目新しさも感じないけど、このドラマ、エピソードごとのクオリティに差が少なく本当に面白いです。最近、第1シーズン16話を見終わり、第2シーズンに突入したところ。

1話完結で毎回きちんと事件に決着がつく見やすさや、TVシリーズのフォーマットの魅力である「お約束」を大事にしている姿勢は、流行の「謎また謎」式は疲れるという人には向いているかも。

調べたら、このシリーズのクリエイターであるグレン・ゴードン・キャロンは、ブルース・ウィリス出世作でもある80年代の大ヒットドラマ『こちらブルームーン探偵社』を作った人で、『ミディアム』は彼にとって、久々のヒット作のようだ。どこか感じる懐かしさはそのせいか。

物語は、必ず主人公アリソンが見る悪夢のシーンから始まる(前述の「お約束」!)。ポイントは、霊能力による本筋の事件の捜査だけでなく、夫、3人の娘、親戚、友人など、アリソンの家族や身近な人物のちょっとした事件も並行して描かれること。ミステリーとしても毎回予想を裏切るツイストが効いたシナリオが見事だが、ホームドラマとしていちいちリアルな点が、この作品に厚みを与えていると思う。

特殊能力を持つアリソンは、慈悲深いスーパー・ヒロインとしてではなく、子供の送り迎えや姑の世話のことで夫と口論したり、事件の捜査と家事の両立に本気で悩んだりする普通の主婦として描かれる。まあ、個人的にはこの奥さんが毎度毎度イライラして、我慢強いダンナに食ってかかるシーンが観ていて非常にシンドイのですが(笑)。ダンナ、本当にいい人です。アリソンは霊がいちいち語りかけてきて疲れるのは分かるけどダンナをもっと大事にして下さい(感情移入)。ベテラン英国俳優、ジェイク・ウェバーが、おっそろしいパトリシアと対照的でいい味。

目玉である霊能力、心霊現象の描き方には無駄なイフェクトを極力使わず、例えばリビングに突然、死んだ夫の父親が立っていたりと、地味な演出に徹していて好感が持てる。そういえばBGMも相当ミニマムにしか使われていない気が…。

ロール・シャッハ・テスト風の絵柄がモチーフになったオープニングタイトルも、ミステリアスでお気に入り。サスペンスとユーモアをうまく配分しているし、気分よく観られるドラマである。

★邦題は、WOWOWでは「ミディアム 霊能者アリソン・デュボア」、FOXチャンネル・DVDでは「ミディアム 霊能捜査官アリソン・デュボア」と表記しているようです。


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ミディアム ~霊能捜査官アリソン・デュボア~シーズン2 DVD-BOX

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