’07年おもしろかった漫画(4)超暴力活劇『ヴィンランド・サガ』


去年おもしろかった漫画を今更ながら振り返ろうかと。その(4)です。

こういう作品を読むと、日本の漫画っていまやどんな世界、どんな時代でも自由自在に描けてしまうんだな、と改めて思う。また、遥か昔の外国人が全員日本語を喋っていても気にならないのが、漫画というジャンルの強みである。

デビュー作『プラネテス』で外宇宙植民地時代という超未来を扱った幸村誠。続くこの『ヴィンランド・サガ』では、11世紀初頭の北ヨーロッパ、つまりヴァイキングが生きた世界を舞台にもってきた。

歴史に疎いので全然確証はないけれど、この作品を描くためのリサーチ、おそらく半端なものじゃないのでは。当時の時代背景、地形、建造物から、戦士たちの甲冑、武器、装具といった細部までを、まるで見て来たかのように現実感満点に描写してみせる作者の力量にまず圧倒される。

主人公の少年トルフィンは、父親を目の前で殺した仇である海賊のボス・アシェラッドの兵団とあえて行動を共にする。その理由は、戦場で手柄を立てれば、褒美としてアシェラッドと決闘する権利を手に出来るから! この不条理ともいえる設定に、またまた「燃え」のツボを押されてしまいました。

この漫画、もちろん知られざるヴァイキングたちの思想・生き様を知るという楽しみもあるけれど、その本質はメル・ギブソン『ブレイブハート』『アポカリプト』を連想させる、超残酷バイオレンス・アクションだ。

銃火器のない時代ゆえ、使用される武器が長剣、ナイフ、弓矢、槍と、直接痛みが伝わるようなものばかり。特にヴァイキングたちが好んで使う「斧」でぶっ叩かれる描写はイタソー! 巨漢ぞろいの戦士たちを相手に、小兵のトルフィンがその身の軽さと父の形見である二刀流の短剣だけで立ち向かっていくバトル・シーンは、とにかく興奮させてくれます。

でも、この時代、この場所に生まれなくて本当に良かった……!


ヴィンランド・サガ(1) (アフタヌーンKC)

ヴィンランド・サガ(1) (アフタヌーンKC)


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