『スティーヴン・キング 8つの悪夢〜』玩具ソルジャーVSウィリアム・ハート

最近の米ドラ・ローテーションの1本『スティーヴン・キング 8つの悪夢<ナイトメアズ>』。キングの未映像化短編を原作とした1話完結のミニ・シリーズで、いわばキング版『トワイライト・ゾーン』といった趣き。見逃していた第1話『バトルグラウンド』が再放送されたので観た。夜中に酔っ払っての鑑賞のせいか、これがやけに面白い。

ウィリアム・ハート演じる殺し屋が、自宅に届いたオモチャの兵隊にいきなり襲撃されるというストーリー。予備知識なしでぼんやり観始め、途中で「この話、知ってるな……」と気がついた。これ、キング初期の短編集『深夜勤務』収録の『戦場』ではないですか。読んだのは恐らく高校か大学の頃だろうから、そりゃ忘れかけてるのも当然だ。


ナイトシフト〈1〉深夜勤務 (扶桑社ミステリー)

ナイトシフト〈1〉深夜勤務 (扶桑社ミステリー)


オモチャの軍隊の目的は、なんと殺し屋に殺された玩具会社社長の復讐! まあ、理屈もなにもない荒唐無稽な話。キングの子供っぽい側面が全開になった、暴力的なスラップスティックなのである。

ほとんど全編セリフはなく、ただひたすら容赦ない総攻撃を加えるオモチャ軍と、必死の抵抗を試みるウィリアム・ハートの攻防が描かれるのみ。ハートほどの名優がなぜこんなアホな役を!? とも思うが、その大熱演あってこその面白さ(超小型弾丸でバリバリ撃たれる顔が痛そう!)。

そして何より、このオモチャ軍の特殊効果が実に良く出来ている。ネットで見つけたメイキング画像を見る限り、安易にCGを使っただけではない。おそらく実物の俳優たちにオモチャ兵のメイクを施し、デジタル処理でカクカクした動きをつけ、その“小ささ”“玩具っぽさ”を演出した上で合成しているのだろう。クリエイターの工夫の心が感じられる特殊効果を久々に観た。

オチも洒落が利いていて、楽しい楽しい。監督はブライアン・ヘンソンって……あのジム・ヘンソンの息子のマペット監督ですか! なるほどセンスがいいわけだ。

ちなみにこの玩具ソルジャー、『トイ・ストーリー』にも出てくるやつ?




AXNオフィシャル『スティーヴン・キング 8つの悪夢<ナイトメアズ>』
http://axn.co.jp/nightmaresanddreamscapes/index.html