POV超能力映画『Chronicle(クロニクル)』
噂の超能力映画『Chronicle(クロニクル)』をUK版ブルーレイでやっと観た。日本未公開作を「やっと観た」というのもおかしいけど、そ
れだけ一部では話題になっていた作品。
POV(Point of View Shot)という手法は今風ながら、青春期の鬱屈を超能力と絡めた内容は『キャリー』の系譜に連なる、むしろ定番的なもの。
POVを使う意味も、前半は、リアリティーの追求よりも超能力を手にした少年たちの高揚を共有する効果の方が大きい。この映画が凄いのは、一転して超能力暴発の大スペクタクルが展開する後半部分。街頭の監視カメラ、パトカーの車載カメラ、野次馬の携帯カメラ、TVのニュース映像などをこれでもかと駆使して、あまり観たことがないほどの臨場感を演出することに成功している。大友克洋『童夢』を実写化したら、こんな感じになるのではないだろうか。
主人公のイジメられっ子とその従兄弟の同性愛的ともいえる濃密な関係が物語の軸となっている点も面白い。映画ではないが、日本の超能力コミックの最先端であろう、森 恒二『デストロイアンドレボリューション』(ヤングジャンプコミックス)と、鬼頭莫宏『なにかもちがってますか』(アフタヌーンKC)の2作も、まさに少年2人のコンビを主人公としており、これには奇妙なシンクロニシティを感じる。
デストロイアンドレボリューション 1 (ヤングジャンプコミックス)
- 作者: 森恒二
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2011/04/28
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